格安SIMの歴史を知ろう!料金や大手との違いについて

格安SIM

今ではすっかり身近になった「格安SIM」について、数々の格安SIMを渡り歩いてきた私が、その歴史を振り返ります。

ジョニー
ジョニー

アクセスありがとうございます!2022年5月に楽天モバイルが1GBまで0円プランの廃止を宣言してから明らかにこのページへの訪問者が増えております!

2007年:初代iPhone登場

2007年に登場したApple「iPhone」の登場で、世界も日本も大きく変わりました。世界を変えた革新的な製品ですが、驚くことに登場からまだ15年程度しか経っていないんですね。

そんなiPhoneの説明はもはや不要ですが、重要なのはiPhoneに続けと開発されたandroid製の「格安スマホ」の存在です。

2008年:Android搭載スマホの猛追

iPhone登場に黙っている訳もなく、2008年にGoogleは携帯汎用OS”Android”を開発しました。

日本では、SonyのXperia、Samsungのgalaxy、HuaweiのPシリーズ、XiaomiのMiシリーズなど、様々な格安スマホが次々に登場したことも追い風になって、スマホ需要は年々高まりました。

格安SIMは安さが売りですから、格安スマホとセットで販売されることが多く、上記のようなハードウェアの登場と共に、格安SIM業界も盛り上がっていきます

2010年代:3大キャリアの停滞感

格安SIMの本格的な登場は2015年頃からですが、まずは3大キャリアの当時を振り返ります。ご存じ、ドコモ、au、ソフトバンクの3大手通信会社ですね。

今思えば、格安SIMが出てくるまでは3大キャリアのやりたい放題だったと思います。今ではその多くが改善されていますが、当時は以下のような消費者に優しくない制約がたくさんありました。

問題点:格安SIM登場前の3大キャリア
  • 価格が高い】3社横並びで月額6~8000円ほど。価格競争が起こらない状況だった
  • 【プランが複雑】家族割、ネット割、2年縛り・・契約内容がよくわからない
  • 【契約2年縛り】途中解約には多額の違約金が発生した
  • 縛り】無料解約のタイミングは契約終了から次の契約開始までの約1ヶ月間だけ
  • オンラインなし】ショップ対応だけ、しかも何時間も待たされる・・
  • 【謎のSIMロック】端末を購入した通信会社以外のSIM利用が制限されていた
  • 異常な特典】”他社乗り換えならiPhone1円”などが横行していた

一応、キャリア側としては「月額料金は世界と比べても良質な通信環境を整備しているため、決して割高ではない」という思いがあったのですが、のちに政府から値下げを迫られますので、結果的に日本政府からは割高だと判断されたということになります。

個人的には、消費者にとって値下げが嬉しいのは事実ですが、とはいえ一応民営化している通信会社に値下げを強いるというのはなかなか思い切ったことをしたなぁという印象です。

-少し休憩-

やや脱線しましたが、当時の3キャリアの問題点について戻りますと、個人的には【契約2年縛り】【SIMロック】が最も厄介な問題だったと考えており、

  • 契約期間とその解除期間が強制的に限定されてしまう」という不自由
  • 同じ携帯電話なのに違う会社のSIMカードでは使えない」という理不尽

この2点の拘束力があまりにも強すぎたせいで、他社へ乗り換えや競争が単純に難しく、そのために価格競争も起こりにくい環境が出来上がっていたと推察しています。

契約解除無料の1ヶ月間を狙って、他社へ乗り換えしようと思って携帯ショップに行ったけど、あまりにも順番待ちで待たされるからやっぱり辞め。そして更に2年の月日が過ぎてしまった・・そんな経験が私にもありました。

「もはや業界全体がそういう作戦なのか!?」と思うほど、体力と時間の消耗がすごかった気がします。あくまで個人的感想ですが・・・

2015年:格安SIMの夜明け

そんな3大キャリアが無双状態の2012年。通信老舗「IIJmio」がdocomo回線を借りた「タイプD」での格安SIM業者(MVNO)への参入を発表しました。

最初は「格安SIMって何?怪しい・・」という雰囲気で、当然信頼が無いですからなかなか普及しませんでしたが、あのEC国内大手の楽天が「楽天モバイル」として2014年末頃に格安SIM事業に参入、大手ならではの資金力を使ってCMをどんどん打ち出していきました。

あくまで個人的な体感ではありますが、翌年の2015年頃から”格安SIM”という言葉、業界が世間にも認知され、次第に普及していったと記憶しています。

  • MVNOとは、”Mobile Virtual Network Operator” の略称です。
  • 日本語訳は ”仮想移動体通信事業者” ですが、簡単にいうと格安SIM業者です。

ちなみに、そんな私の格安SIMデビューも2015年の楽天モバイルでした。

当時は「料金が安い代わりに速度が遅くなるらしい」程度の情報しか持っていませんでしたので、「まぁあまりにも使えないなら辞めればいいか」くらいの軽い気持ちでスタートしました。

しかし、ここが大きな転換点となりました。

確かに速度が遅くなるときも多々あったのですが、「今まで高額な通信料を払っていたのは何だったのか・・」と思うほど、問題なく使えたのです。

また、それまではギガ容量など気にすることもなかったのですが、3GBでいくら、5GBでいくらという値段設定を意識するようになり、本来自分に必要なデータ量と速度がどの程度なのか、身をもって知るきっかけになったのです。

2016年:格安SIMの群雄割拠

2016年以降、スマホユーザーの格安SIM利用率は年々増加しました。調査会社によって数字が異なるのですが、ざっくり以下のような推移です。

格安SIM利用率の推移
  • 2015年5%→2016年8%→2017年10%→2018年14%→2019年18%→2020年20%

明らかに需要の高まりが加速し、有象無象の事業者が格安SIM業界に参入したため、ピーク時には100社以上の格安SIM業者が存在していたようです。

そんな数ある業者の中でもメインは、「NTT系のOCN」「楽天モバイル」「Yモバイル」「UQモバイル」「IIJ」あたり。次点で「mineo」「イオン」「DMM」「BIGLOBE」などでしょうか。

更にその他、家電量販店、地方電力、ソニー系のnuroなど、他業種からの参入によって、とんでもない超レッドオーシャンが生まれました。

しかし、急に膨れ上がった業界はいずれパンクしてしまいます。

2017年:格安SIMの沈静化と自然淘汰

2017年頃は「格安SIM」という言葉がある程度世に浸透して、携帯会社を乗り換える冒険心のある人は、そのほとんどが格安SIMに乗り換えた印象があり、ピーク時に比べて盛り上がりは沈静化していたように思います。(私の主観ですが)

また、各社の料金体系に誤差はあるものの、ある程度横並びになっていたこともあり、「3大キャリアよりは当然安いけど、結局どこがおすすめなのか良く分からない」という状態に陥ります。

2017年頃の格安SIMの価格帯
  • 1GBプラン:1,300円
  • 3GBプラン:1,600円
  • 5GBプラン:2,200円

価格がどこも同じならば、やはりネームバリューが決定打になりますよね。ということで、au傘下の「UQモバイル」「通信老舗のIIJ」「NTTブランドのOCN」「言わずもがな楽天モバイル」が、格安SIM業界の半分以上のシェアを占める構図となります。

逆に言えば、残りの半分以下のシェアを何十もの有象無象の業者が奪い合うことになるわけで、この超レッドオーシャン化した激戦に耐えかねた業者が撤退、他に吸収されたりします。

主な事業継承
  • 2017年:FREETEL→楽天モバイルへ譲渡
  • 2017年:BIGLOBE→UQモバイル傘下に(正確にはKDDIがBIGLOBEを買収)
  • 2019年:DMM mobile→楽天モバイルへ譲渡

特に記憶に残っているのは「FREETEL」です。佐々木希さんを起用したCMが有名でした。

当時、本当に勢いのあった会社で、自社製造の国産格安スマホと回線をセット販売し、一時期は業界5位まで上り詰めたほどでしたが、あっけなく散ってしまいました。調べたところによると、2017年に3期連続の赤字となってしまい民事再生法の適用を申請したようです。

シェア5位まで上り詰めても、その先が無いほどに競争は激化していたことを象徴する事件だったと思います。会社に財務的な体力があるかないかってすごく重要なことなんだなとしみじみ。

あとは、FREETELの強みであって自社製造の格安スマホについて、韓国や中国の格安スマホのレベルが上がっていたことも追い打ちだったのかもしれません。

日本にいるとiPhoneやXperiaあたりが目に入ると思いますが、世界的にはXiaomi,Samsung,vivo,oppoなどのメーカーが圧倒的なシェアを誇っており、もはや日本製スマホは完敗していると言わざるを得ないですね・・

2020年:楽天モバイルが第4のキャリアに昇格

次に、2019年まではMVNOだった楽天モバイルが、満を持して4つ目のキャリアに昇格しました。

キャリアを名乗るならば自社設備による安定した通信提供が求められるのですが、カバーできる範囲は正直まだまだですので、最初のうちはパートナー回線という名目で、楽天がカバーできないエリアはauの通信網を借りることで何とか対応しています。

ただし、楽天モバイルの強みは通信網ではなく、「1GBまで無料」「Rakuten Linkで通話無料」「楽天市場のポイント+1倍」という点。

信じられない価格破壊で業界に新しい風を巻き起こしてくれましたが、冒頭にも書いた通り楽天モバイルは2022年7月から1GBまで0円プランを廃止することになりました。

「ぶっちゃけると、いつまでも0円で使われても困る」という楽天・三木谷社長の正直なご意見はごもっともなのですが、大きな強みの一つが失われたことで、povoやIIJなどへ乗り換えする人が増えているそうです

2021年:3大キャリアの値下げ

そんな楽天モバイルのキャリア参入もあってか、政府からの3大キャリアへの値下げ圧力がピークを迎えます。

2020年に菅政権が「現行価格から4割は値下げできる」と具体的数値を示したこともあり、大手3社はついに値下げせざるを得ない状況に追い込まれます。

最初は各社様子見の状況でしたが、ドコモが「ahamo」にて先人を切り、auもソフトバンクもそれに続きました。結局3社横並びは変わりません。

しかし、家族割やネット割といった複雑な値引きの無い「通信量20GBで約3,000円」というシンプルで使いやすいプランが登場しました。ahamo登場は本当に流れが変わった感じがしましたね。

3大キャリアの新プラン
  • ahamo:20GBで2,970円、5分かけ放題
  • povo:20GBで2,728円、550円で5分かけ放題
  • LINEMO: 3BGで990円/20GBで2,728円、550円で5分かけ放題

2021年:格安SIMも値下げ

正直なところ、大手キャリアの料金が高いからこそ格安SIMを選んできたのであって、大手キャリアが値下げしてしまったら、格安SIMも値下げせざるを得ません

格安SIM業者はここ数年がんばって安いプランを提供してくれたのに、単にドコモ、au、ソフトバンクを値下げさせるための咬ませ犬だったのか・・

格安SIMの新プラン
  • 1GB:770円(OCN)
  • 2GB:858円(IIJ
  • 3GB:792円(nuro)/990円(OCN)
  • 4GB:1,078円(IIJ
  • 5GB:990円(nuro)

2017年頃でも安かったのに、さらに半額程度まで値下げすることになりました。もはやこの価格帯で利益が出るのか不思議ですね。

今後は「1~5GBしか使わないから千円くらいで済ませたい」というライト層を取り込むことで、大手キャリアとの差別化を図るのでしょう。私は今後も格安SIMを応援したいです。

2022年:IIJが更に値下げ..

それまでは5GBならnuro mobileが1強でしたが、IIJも5GB 990円に値下げしました。バチバチに競合しています。

個人的にはIIJの方が評価が高いイメージですが、いずれにせよ5GBプランならnuroかIIJが最安なので、深く考えずにおすすめできます。ちなみに私はIIJを使っています、超安くて快適です。(2023年12月時点)

改定前改定後
2GB:858円2GB:850円
4GB:1,078円5GB:990円
8GB:1,518円10GB:1,500円

私が使ってきた格安SIM

私の格安SIM変遷
  • 2015年 楽天モバイル
  • 2016年 mineo(関西電力系)
  • 2017年 IIJ + UQmobile(タブレット用)
  • 2018年 LIBMO(東海通信系)
  • 2019年 QTモバイル(九州電力系)
  • 2020年 BIGLOBE
  • 2021年 OCN + 楽天モバイル
  • 2023年 IIJ + povo

順番は前後するかもしれないですが、格安SIM10社くらいは点々としてきたと思います。

2015年の楽天モバイルは確かに通信速度遅かった印象がありますが、それ以降は、遅すぎて使い物にならないということは無かったと思います。TOKAIコミュニケーション傘下のLIBMO、九電傘下のQTモバイルが当時まだノウハウが蓄積されていないのかマイページが使いにくかった記憶くらいです。

これから格安SIMを申し込もうという方は、正直なところ値段も速度もさほど差はないので、ご自身に一番身近なブランドを選べば問題ないと思います。

ただし明らかに速度が違うと感じたのはUQmobile。UQmobileだけは格安SIMのカテゴリに含んではいけないと思うくらい通信速度が速かったです。au直系の力を思う存分使えるようなので、これは別格でしたね。

今後の通信業界について

これまでの通信業界の変化
  • 2010~2019年:格安SIMの誕生と淘汰
  • 2020年:楽天モバイルのキャリア昇格
  • 2021年:3大キャリアの値下げ
  • 2021年:格安SIMの更なる値下げ
  • 2022年:IIJの値下げ
  • 2023年:irumo,UQ,ワイモバが実質値上げ

値下げだけが正義とは思いませんが、ここ5年で携帯料金は大きく変わりました。同時に、それまで使いにくかった「契約期間2年縛り」「違約金」「SIMロック」なども無くなりつつあり、気になる点にはほとんどメスが入ったと思います。

個人的に今後気になるのは、UQやワイモバイルなどのサブブランドの存在です。これらは「キャリア並みの速度」と「格安SIM並みの安さ」の合わせ技で人気がありましたが、本家のキャリアが値下げしたことで、その存在意義が薄れました。とはいえ格安SIMほど安くするわけではなく、家族割やネット割でまとめてお得なプランを提供しているらしく、ライフライン全体を囲い込む戦略のようです。また、2023年よりインフレの影響からか実質的な値上げが進んでおり、かつてほどの値下げ競争はもう起こらないと思っています

もう一つ気になるのは、サブスクとのセット売り。

21年10月にy.u mobileがU-NEXTとデータ10GB込みで2,970円というプランを開始しました。これが実はかなりお得なプランなので、今後は何かしらのサブスクとのパッケージ売りも選択肢として出てくるように思います。

U-NEXTユーザーはほぼ入って損がないプランなので、ぜひ検討してみてください。y.u mobile については 詳しくは以下の記事にまとめています。

あわせて読みたい

各プランの価格をまとめた記事を書きましたので、こちらもどうぞ。

長くなりましたが、今回は以上です。

私は、格安SIMがあったからガジェット好きになったと言っても過言ではないです。

値段も安いし、選択肢も豊富だし、調べるだけで楽しいです。

今後も何か新しい発見があれば追記しようと思います!

コメント

  1. モバイル より:

    三大キャリアの歴史面白いです!
    読みやすかったです、ありがとうございます!